無冠文庫

古今東西傑作小説集

掌編嗅覚『へい、ふぃーばぁ』

国語の時間は苦手だ。

『すくすくとたんぽぽ』

の音読。

「次は、ゆうた君」

「はい」

マスクを外す。

鼻がむずむずする。

ずるずるすする。

はなからミスする。

「くすくす」する声。

紙くずもすぐ、ぐずぐず。

鼻水かみすぎず、袖の端でふく。

服を恥じ、それを隠し、席に着く。

ずきずきする傷に気付く。

人中(ここ)の赤みの痛み。

集中出来ない。

まず水を出す。

ぬるぬるの危機に効くって聞く、薬飲むのはなかなか不味い。

マズい、吐きそう。

げー。

臭い。

熱い。

保健室のベッド。

平熱だ。

「どうして僕っていつもこうなんだろう」

「ゆうた君は花粉症だから。仕方ないのよ」

「臭くて、熱くなるやつのこと?」

「昔の農家さんが草を干していたら、熱が出てびっくりした病気なの。ヘイフィーバーってゆうんだよ」

「へい、ふぃーばぁ」


疑う事も必要だ。マイナスの思考がなければ、サバンナで生きて行けない。プラスの思考しか持てないシマウマは一番にライオンに食べられてしまう。